鶴居村で生まれ育った酪農家

(有)菱沼ファーム
菱沼和也
鶴居村で代々続く酪農家の長男として生まれる。酪農高校・酪農短大を卒業後、実家に戻り酪農の道へ。農協青年部の部長、釧路管内の青年部協議会副会長などを歴任し、現在はヘルパー組合の組合長、森林組合の理事を兼任。父から事業継承した(有)菱沼ファームの代表を務める。

大好きな鶴居村で、酪農の魅力を次世代へ伝えたい

高校に入るまでは酪農を継ぐつもりはなかったという菱沼さん。高校進学の際も、手伝いをしなくて済むという理由で家から遠い学校を選んだものの、同じ酪農家の息子が数多くいる環境の中で少しずつ意識が変わっていったそうです。

大きな転機となったのが、短大時代に経験した酪農実習。受け入れてくれた農場で気持ちに大きな変化があったという。「おじいちゃんが楽しそうに働いているのが印象的で、一緒に仕事をするのが楽しかった。搾乳や育成舎の掃除などをしながら色々な話を聞いて、改めて酪農の魅力に気づかされました」と語る。そんな経験を経て、「自分は長男だし、今やらなきゃいけないかな」と鶴居へ戻ることを決めたそう。

1918年創業の菱沼ファームは100年以上続く歴史ある農場で、菱沼さんは4代目。楽しく働くことを何より大切にしていて、両親と弟家族の4世帯が仲良く汗を流します。 菱沼さんが経営計画を立てるようになって4〜5年。自分で計画を立てるようになってから、経営の楽しさを実感しているそう。「乳量が伸びたり、一年の経営計画を立ててその通りできたときは達成感があります。頑張って成果が出ると嬉しいですね」。

菱沼ファームの牛乳は、村内の「ファームレストラン ハートンツリー」のチーズや料理に使われています。酪農家が消費者に直接会う機会は少ないので、ダイレクトに反応を得られることが良い刺激になっているそう。 消費者に提供したいのは「安心して飲んでもらえる牛乳」。お店主催のパーティーなどで、お客さんに「美味しいね」と言ってもらえることが何より嬉しいと笑顔で語ってくれました。

鶴居村で生まれ育ち当たり前になっているとはいえ、鶴居村の暮らしやすさ、居心地の良さはずっと感じているそうです。 特に親になって感じるのは子育てのしやすさ。子どもの医療費補助もあり、村政懇談会でも要望を受け入れてもらいやすく、村民を大切にしてくれていると実感するそうです。 教育にも熱心で、平均学力が高いのも鶴居村の魅力。地域性から塾に通わせるのが難しい面もあるので、普段の勉強をしっかり見てもらえるのは親として助かっているとのこと。

経営者としても親としても充実した日々を送る菱沼さんですが、最近は今の農場をどう次の世代へ引き継いでいけるかを考えるようになったとか。 自分は好きでこの仕事をしているので、子どもにも「好きな仕事」として酪農を選んでもらいたい。「そのためにも、子どもが自分からやりたいと言ってくれるような魅力ある農場にしていきたいです」と、将来への想いを語ってくれました。